MBTIヒストリーMBTIはどうやって生まれたのか

MBTIはスイスの精神分析家ユングの著書を元にアメリカで誕生しました。
その誕生から日本版の発行に至る歴史をここに紹介します。

MBTIは他の性格検査とは異なります。MBTI(エムビーティーアイ:Myers-Briggs Type Indicator)は、個人をタイプに分類したり、性格を診断したりすることが目的ではありません。回答した個人一人ひとりが、自分の心を理解するための座標軸として用いることを最大の目的にしています。

MBTIはどうやって生まれたのか

MBTIはスイスの精神分析家ユングの著書を元にアメリカで誕生しました。
その誕生から日本版の発行に至る歴史をここに紹介します。

アメリカで生まれる

まず最初にMBTIの開発に取り組んだのが、キャサリン・ブリッグスという人物です。

1917年ごろ、キャサリンが人の伝記を通して「人の違い」「多様性」への興味を持ち、その後に独自のタイプ理論を編み出しました。

1923年、スイスの精神分析家 C.Gユングの『Psychological Type』の英訳が出版されると、それを読んだキャサリンは「これは自分の考えを包括するもの」「これこそが、自分が探していたものだ!」と感銘を受けます。この理論をもっと広く一般の人々に知ってほしいという思いから、1950年にユング本人に手紙を送り、ユングの承諾を経て心理検査の開発に着手しました。

(母)キャサリンブリッグズ、C.G ユング (娘)、イザベルの似顔絵

当時は、行動特性を測る心理検査が大勢を占めていましたので、タイプ論ベースの検査、しかも理論ベースの検査の開発は困難を極めました。そんな中で戦争が勃発します。キャサリンの娘イザベルは世の中から不要な争いをなくしたいという願いから、自分の夫や息子たち家族を巻き込んで、母と共にMBTIの開発に没頭します。2人はユングの心理学的タイプ論を何度も何度も読み返し、20年以上の年月をかけて、ユングの「外向ー内向」「感覚機能ー直観機能」「感情機能ー思考機能」に、タイプダイナミクスを見出すためのMBTIのオリジナル指標「J(Judging)」と「P(Percieving)」を加えた4指標の質問項目を完成させました。

その後、以下にあげる心理学者やユング派の臨床心理学者らとの運命的な出会いがあり、彼らによって信頼性と妥当性の研究が重ねられ、最終的に有資格者のみが購入できるフォーマルアセスメント(*1)として、初めてMBTIが世に出ました。

Mary McCaully博士、クエンク博士、Waine、Michelle博士、Allan Hammer博士の似顔絵

MBTIはアメリカ国内においては、MBTIを有資格者からフィードバックを受けたことがない人はいないくらい、自己分析メソッドとして知られています。フォーチュン100のほとんどの大手企業において研修で利用されており、また高校3年生や大学入学後に、今後のどの分野に進むか、人生のキャリア形成について自分の動機の源はどこにあるのかを見出すために、有資格者の支援のもとでじっくり自分と向き合う時間として、MBTIが用いられるのはごく普通のステップと考えられています。

(*1)標準化された「信頼性」と「妥当性」の基準を満たした検査のこと。

その他にも、いま大きな話題となっているメジャーリーグのようなチームスポーツにおいてもチームビルディングの研修で必ずMBTIが用いられます。そういう背景があるので、ラグビー日本代表のエディージョーンズ氏がチーム招集時に選手たちを対象にMBTIを用い、多様性への理解とチームビルディングのために利用したのはとても自然なことだったと言えます。

また医療業界においても、ミスコミュニケーションは致命的なミスに至ることから、MBTIを用いたコミュニケーション研修が頻繁に行われていたり、医師が管理職になる際のリーダーとしての研修にもよく使われます。

さらに夫婦のカウンセリングの場面では、それぞれ別々にMBTIのフィードバックが最初に実施されることがよくあります。それは夫婦間のいさかいの多くは認知スタイルの違いによるものがとても多いからです。タイプが異なると相手から聞きたい言葉も異なりますし、大切にする方法も違うからです。

このようにアメリカ国内では、現在に至るまでMBTIが広く利用され、多くの人がさまざまな場面でその恩恵を受けています。これらMBTIの功績が広く認められ、2001年9月にイザベルはNY州知事より、心理学名誉博士号を授与されました。


日本でも同様に、特に若い人たちがトレーニングを受けた有資格者によるMBTIのフィードバックを受け、MBTIが提供できる恩恵を最大限得ることによって、自身の日常から生涯に渡り大きく役立ってくれる日がくることを願って止みません。

日本への導入

日本への導入は一人の研究者が大きく関わっています。

一般社団法人日本MBTI協会の代表理事である園田由紀は、今から35年以上前、当時日本人がほとんどいないアメリカニューヨーク州ホワイトプレーンズにて教育を受けていました。異なる文化の中でヘイトクライムの対象になったこともありましたが、同時に肌の色や言語の違いやジェンダーを超えた信頼関係が構築できるすばらしさ・豊かさを知ることができました。

その後、Naomi L Quenk 博士のもと個人分析セッションを数年間受けた結果、自分の意識化を促進していく過程で、自分を受け入れられる部分が増えると同時に、自分と違う他者をも受け入れられるようになる体験をします。

さらに園田は自分自身の深い気づきと体験を通じて、このメソッドが、日本人に適合した形で倫理的に普及し、日本人の心に布置されたら、他人と比較しがちだったり、空気という同調圧力が常に存在する日本文化において、一人一人が絶対的な自分の見方を確立でき、かつその人が自分を生きる羅針盤として活かすことができるのではないか…という想いに至り、MBTIの日本版の開発と普及をしようと一大決心をします。

園田は日本人ではじめてMBTI の資格を取得し、日本版を開発し、日本人用の有資格者のトレーニングの開発も任された、いわゆる日本におけるMBTI の第一人者です。その自分だからこそできることを、と考え、当時勤めていた会社を辞め、日本人の心の成熟や多様性を受容するために尽力したいという強い想いが生まれたといいます。それから日本ではユング派の心理臨床学者のもと訓練を受けつつ、臨床心理士の資格を取得し、米国ではユング派の臨床心理学者であり世界中で Mrs.MBTI として著名だったナオミ・クエンク博士のもとで15 年以上にわたり教育分析も含め指導を受け、さらに諸外国のMBTI マスタートレーナーたちからの訓練も受け、世界のMBTIトレーナーたちより、日本ではじめてMBTI 有資格者を育成するMBTIトレーナーとして認められました。また同時に当時米国心理学会公認の学会であったMBTI学会(APT)のMBTI Trainers Faculty のメンバーにも選ばれ、全世界においてMBTIの倫理的な普及や研究についての責任を負うこととなりました。

その後、園田は、Psychology for Real life を掲げて株式会社PDS 総合研究所設立、主にMBTI と心理学を用い、未病を治すいう視点、管理職以上を対象としたコンテンツを次々の開発し、提供。口コミで企業研修の依頼を受け続けた結果、ゆうに100 社越える内資外資の大手中堅企業、コンサルティングファーム、ほか官公庁においてもすべてカスタマイズの研修の提供をしてまいりました。その間、アメリカをはじめ、イギリス、韓国、ベルギー、香港、タイなどでの英語もしくは日本語と英語の両方で研修や講演も活動的に行ってきました。

園田由紀、ナオミクエンク博士の似顔絵

その間に、一般社団法人日本MBTI 協会を設立し、トレーニングを展開、自らメインの講師を15 年以上務め、日本MBTI 学会(Japan APT)も設立し、有資格者の学びとつながりの場の提供および、多種多様な継続学習のコンテンツの開発と提供もコロナ禍においても絶え間なく行ってまいりました。またCPP 社(現TMBC 社)が世界統一のブランディングを推進しはじめたころに、当時まで共に事業をしてきた金子書房さんが撤退されたため、日本ではじめてWEB のフォーマルアセスメントを取り扱う心理検査出版会社JPP 株式会社を設立。MBTI のSTEP1(ベーシック版)だけでなく、STEP2(さらに詳細なレポートの生成ができる版)の開発と出版およびMBTI の次に人気のあるコンフリクトマネジメントでよく利用されるThomas Killman Conflict Mode Instrument の日本版開発と出版も展開し、今後も、TMBC 社のフォーマルアセスメントを、日本の文化や日本人に適合する形での開発をし、できるだけ多くの日本人の役に立てるよう、尽力しています。


TMBCオーストラリア責任者キャメロン氏、CFO キャル氏、園田由紀、TMBC社長ジェフ氏、MBTI協会顧問弁護士藤本先生、サアド氏、マイケル氏の似顔絵

ビジネスパートナーのTMBC社と弊協会と関連会社JPP株式会社との契約交渉時のメンバー

アカデミック分野においては、2003年より東京大学大学院医学系研究科にてMBTIを用いた医療コミュニケーションの非常勤講師として教鞭をとるようになりました。翌年には京都大学大学院医学研究科でも同様に非常勤講師も務めるようになり、国家プロジェクトだった奈良の医療改革プロジェクトや、筑波大学附属病院主導の全日病の研修にも携わり、日本の医療分野におけるMBTIの活用及び研究に注力し、今日に至っています。

園田は、出身校のスローガンでもあったNon Sibi(利他の精神)を設立したすべての会社のビジョンとして描き、3.11 の未曽有の災害時には、初年度は各組織の利益のすべて寄付し、メンバーをひきつれて現地入りをし物資支援から後方支援まで、おこなってまいり、10 年間、利益が出ない年も一部寄付をしてまいりました。また6 年前からは、政治上は諸問題ある日本と韓国と中国の間の懸け橋となるよう、MBTI の学術的な研究を各国の心理学者たちと協働研究も続けています。そして2022 年からMBTIが誤って認識された形でブームとなってからは、誤った自己理解や悪質なサイトによって深く傷ついた人たちから協会に届くsos の声に真摯に耳を傾け、協会のスタッフと毎日のように対策会議をもち、昨年一年はスタッフ総出で影響力のある企業の責任者や社長およびインフルエンサーの方々一人ひとりと丁寧な対話をもつことで、理解を促してまいりましたが、理解者が増えてきたこともあり、今年からインスタグラムの開設に至り、全会社の管理職スタッフとIT の専門家であるグラフネットワークさんやイラストレーターの川畑さんと定期的な会議を持ち、侃々諤々話し合いながら、一人でも多くの人に正しい情報を届けたいという想いで、原稿の執筆に精力を注いでいます。

世界各国のその国の翻案されたMBTIのDISTRIBUTERSの代表が集まったMBTIのサミット会議
米国、イギリス、日本、韓国、中国、インド、香港、フィリピン、シンガポール、ニュージランド、オーストラリア、カナダ、サウスアフリカ、ブラジル、タイ、UAEなどのトップと、生前のイザベルの息子PETERやMRS.MBTIと異名をもつナオミ・クエンク博士も参加し、3日にわたって各国の事情や課題や研究開発について議論をする国際色豊かな会議で、コロナの前までは、2年に一度、もうすこし規模を小さくした国際会議が開催されていました。

CPP 2088 International Distributor Summit

2年に2回開催される世界各国のTMBCオーソライズドディストリビューターの代表メンバーが結集して、MBTIの倫理的普及やエンドユーザーに役立つサービスについて活発な議論される。(上記のイラストは、まだクエンク博士もご存命のころの集合写真をイラストにしたものです)

代表理事 園田由紀プロフィール

園田由紀
  • 臨床心理士
  • 東京大学大学院医学系研究科非常勤講師
  • 京都大学大学院医学研究科非常勤講師
  • 米国TMBC社・一般社団法人日本MBTI協会認定MBTIマスタートレーナー
  • 日本キャリア開発協会(JCDA)理事
  • Director of APT Training Faculty in Japan
  • 株式会社PDS総合研究所代表取締役社長
  • JPP株式会社代表取締役社長
  • 株式会社日本心理アセスメント研究所 代表取締役社長
  • 一般社団法人日本MBTI協会 代表理事
  • Japan-APT(日本MBTI学会)代表理事
  • 【受賞歴】
    2011年8月にMyers-Briggs Type Indicator TrustよりThe Isabel Myers in JapanのAwardを受賞。
    同年11月、米国出身高校より、Distinguished Alumni Award受賞。

園田由紀の主な著作・訳書ほか

  1. 「日本版MBTIマニュアル」 第2版 園田由紀 JPP(2022年)
  2. 「MBTIへのいざない」R.Pearmanら著 園田由紀訳 JPP (2012年)
  3. 「MBTIタイプ入門」 I. Briggs著 園田由紀訳 JPP(2011年)
  4. 「MBTIタイプ入門:職場編」 S.K.Hirsh and J. M. Kummerow 著 園田由紀訳 JPP(2010年)
  5. 「MBTIタイプ入門:タイプダイナミクスと発達編」Linda.Kirby & Katharine D. Myers著 園田由紀訳 JPP(2010年)
  6. 「MBTIタイプ入門:チーム編」Sandra Krebs Hirsh著, 園田由紀訳 JPP(2010年)
  7. 「MBTIタイプ入門:タイプとストレス編」Naomi Quenk 著 園田由紀訳 JPP(2010年)
  8. 「エッセンシャルMBTI」Naomi Quenk 著 園田由紀訳 JPP(2014年)

登場雑誌としては、一般紙のAERA やWEEKLY YOMIURI のほか、日経ウーマンオンライン、ダイヤモンドオンライン、大前研一主宰のビジネスブレークスルーの番組への出演や、各分野(HRM、心理臨床、キャリアカウンセリング&医療)の専門誌や辞書への執筆多数。BBC ラジオでのインタビューに登場したこともある。

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