Q 03: MBTIが他の心理検査と違うところはどこですか?

  • 多くの心理検査は、受検者の外から観察できる行動特性や適性を測定し、それらを基準値と比較して(=他人と比較して)結果が出されるものです
    これは集団の中の自分の位置づけを知る意味では有効です
    それに対してMBTIは自分の心の利き手からなる認知パターンを分析する手法であり、結果をMBTIの資格者(認定ユーザー)の支援を受けながら、受検者本人がじっくりと結果を理論と自分の日常と照らし合わせて分析しながら理解を深めるプロセスを重視しているので、見ている側面もアプローチ方法も違うと言えます

  • MBTIは「質問に維回答した結果をもとにMBTIの専門家のもとで、自己分析して自分の認知スタイルを理解する」のが目的ってことで、行動や態度の特徴は見ていないということでしょうか?

  • そういうことです
    あと違う点は、MBTIはユングが提唱した心理学的タイプ論という理論がベースとなっている類型論という捉え方で人の性格を見ている点です
    さきほどの行動特性を測定する性格の見方を特性論による見方といいます
    この特性論と類型論という考え方ってきいたこはありますか?

  • 特性もタイプということばも日常でも聞くことがありますが,「論」がつくとあまり聞かないですね

  • 特性論で馴染みのあるのは偏差値ですね
    約70%の人が分布する範囲を「標準」として、標準より「高い」「低い」という相対的な尺度で数値化するものです

  • 偏差値が特性論といわれるとわかります
    学力の程度を測って比較するからですよね
    類型論はそうじゃないんですか?

  • 類型論の場合は、そもそももとから異なるカテゴリーや型が存在するというところからスタートしています
    で、MBTIはユングが提唱した心理学的タイプ論をもとに、心をカテゴリーに分けて考えた検査なのです

  • 「平均的には〜」とか「普通の人と比較して〜」といったことが分かるものではないってことですね

  • はい
    MBTIは人と人とを比較をしないので、善い性格や悪い性格という評価はしません
    基本は一人ひとりが持って生まれた個性をGIFTという概念で考えているメソッドなので、能力や適性などの優劣も一切見ないというのもMBTIの特徴です

  • たとえば、くだものの例で考えてみましょう
    果物は、そもそも柑橘類、着果類、さく果類、粒果類、トロピカルフルーツそして堅果類と類型されています
    ミカンやレモンは柑橘類、リンゴは着果類、桃は粒果類となり、それぞれ固有の特徴をもち、ミカンのリンゴらしさ、リンゴのミカンらしさを比較してみるといった見方はしないというのが類型論(タイプ論)のとらえ方です
    世の中にはカテゴライズすることが目的となっている類型論ベースの検査も存在しますが、MBTIの目的はそこではありません
    MBTIでは、実際に多くの場合右手が利き手でも左手があるように両方あるけれども、人は、どちらかというとどちらか一方の方を心の利き手として「利き心」を持って生まれているという理論に基づいて、あなた自身の心の利き手はどちらなのかを指し示してくれるのです

  • なるほど、自分の利き手が強い、とか、誰かと比較して自分の利き手の方が利き手らしいとかもいわない
    利き手は利き手なだけであって、もう一方の手もあるわけですものね

  • はい
    一方特性論をくだものの例で考えてみるとどういう視点となるでしょうか?まずさきほど話した、くだものの例、ミカン、レモン、リンゴ、桃、など、どのくだものももっている、共通の特性を比較してみることになります
    そうなると、「甘味」「水分量」「ビタミンCの含有量」「重さ」など、量・程度を比較しうる見方、これが特性論の見方です
    たとえば、「酸っぱさ」に焦点をあてると、何らかの方法で測れば、一番すっぱいのはレモンという判断となるわけです

  • そうなんですね
    比較がないから評価もないというのは、なんか救われる感じもしますが、でもカテゴリーに当てはめるとなると、どうしても決めつけられる感じがして、窮屈に感じるのですが

  • 良い質問をありがとうございます!MBTIでは結果をMBTIの資格者(認定ユーザー)の支援を受けながら、自分で分析していくタイプの検証過程を重要視しています
    なので、その過程において「自分はこのタイプ」だと自分で判断するのですが、それと同時に他のタイプの要素も持っていることがだんだんわかってきます
    そのため、自分自身でその要素を使いこなせるようになれば、自ずともって生まれた心の全体への統合を目指す…という訳なんです
    そうはいっても誰でも簡単に自分のタイプがわかったつぎの日からすぐに利き手でない手を一気に成長させるほど簡単ではありません
    まずは自分のタイプを理解し、それを適切に使っていけるようにし、知覚と判断のバランスがとれてくる
    そして徐々に、自分のタイプだけでは対応できないことが増え、利き手でない心も成長させはじめ、心自体が、心の全体性を得ようという衝動が自然と生まれると言われています

  • ほ〜〜そういうことなんですね!ただタイプに分類して終わるわけではなく、まずは持って生まれたタイプを自分で探し出し、それをもとに、自分が無自覚でいた心の部分に光を当てていくということを学ぶのですね
    とても新鮮な、僕の知っている性格診断とは、まるでちがうのがわかってきました!

  • ユングの心理学的タイプ論やMBTIは、心はそもそもいくつかのカテゴリーに分かれていて、二つで一つの指標が二律背反で成り立っていて、誰も両方のカテゴリーを持っているが、どちらかというと一方よりも優先して使う方があり、それらを組み合わせると心のパターンとして生成され、それをタイプと呼称したのです
    要するに、両方とも誰もが持って使っているけど、どちらかがあなたの心の利き手なのだと知る指針でもあり、利き手でない方をどう開発していけば認知を広げることができるかについても指針をえられるのがMBTIなのです
    一見シンプルに見えてとても深淵
    それ自体が、人の心というものを映し出しているといえるかもしれません

  • ほ〜〜そういうことなんですね!タイプに分類して終わるわけではなく、まずは自分の心の利き手とタイプがわかり、それが適切に使えているのか、どうしたらもっと自分を成熟させてゆけるのかという指針をもらえるということなのですね
    うーん、奥が深そう!


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