代表理事 園田由紀からのメッセージ
MBTIにご興味をもっていただき、本ホームページにアクセスしていただきありがとうございます。
MBTIは、欧米諸国や隣国韓国をはじめ、全世界50カ国あまりで長期にわたり活用されている国際規格のフォーマルアセスメントです。今年で、日本にMBTIを導入してから24年目ですが、現在日本においては3000名を超えるMBTIを正式に取り扱える有資格者(認定ユーザー, MBTI Qualfied user)が誕生しており、人材育成をはじめキャリアカウンセリング、カウンセラーやコーチングの専門家を中心に、医療従事者間などでも、着実に普及し続けています。そして、MBTIの有益性は、それを取り扱う認定ユーザーの質に左右されるため、継続学習の仕組みもこの24年の間に、日本は、かなり充実したものとなっています。
そもそも私がMBTIを日本に導入したいとおもった背景に、MBTIが、回答された受検者の利益を常に最優先して長い年月を費やして開発され普及されてきたということと、人間の普遍的な理論がベースにある検査で、かつ他者と比較しない分析手法で人の優劣を問わないとらえ方であったこと、そして、検査結果で人を判断するのではなく、それをきっかけとして回答者自身が自分の結果を回答者自身が有資格者と対面形式の支援のもと、日常と照らし合わせながら自分に対する理解を深めていく過程で、言葉でいうのは簡単で実際はかなり困難を要する「個性と多様性の尊重」を実際に可能にするフレームワークであると実感していたからです。したがって、MBTIを「単なる自己理解の心理アセスメントツール」のひとつ、と簡単にくくれない稀有な存在といえるでしょう。
MBTIは、ユングの心理学的タイプ論がベースとなっており、人には固有の認知スタイルがあるという視点から個性や多様性を理解するフレームワークとなりますが、ユングは次のように認知のことを語っています。
「そもそもわれわれの世界に関して、知りうるすべての事柄も、われわれ自身の存在に関するすべての知識も、自分の「認知」によってのみ手に入る。宇宙の本質も認知の許容する範囲内でしかあきらかになりえない」(G.C Jung)と。
我々は、日々自分の内外における無数の情報のなかに身を置いていますが、ひとりひとり手に利き手があるように心にも利き手があるため、ひとりひとり自然と使いやすい認知スタイルを通じて、その人が必要と思った情報だけを採択して、それをもとに自然と使いやすい認知スタイルを用いて判断をして、現実(自分、他者、状況、現状などなど)を「理解」し、その人なりの「世界観」や「正しいみかた」を構築していきます。この認知スタイルというのは、その人とってはあまりに自然な心のはたらきなので、自分だけで気づくことはとても難しいといわれています。また自分にとってそのスタイルはあまりに自然ですから、自分にとってはそのもののみかたや判断のしかたが「あたりまえ」であり「ふつう」、場合によっては「正しい」と考えるために、他の人も自分と同じ認知スタイルをもっているはずと思い込む傾向があり、それが他者との行き違いを生じさせる根源にあるといわれています。
個性や多様性について着目されて久しいですが、個性は「人とちがうことをする」や「異なった能力を持つ」という話だったり、多様性については、まだ女性の活用レベルや国籍の違いなどに終始していることが多いようにおもいます。当然そのような視点も重要です。しかし、それよりももっと我々が認識し活用しなければならない視点があると思います。それは、そもそもひとりひとりのもののみかたや判断のしかたそのもの自体がその人の個性ということと、ひとりひとりにある「固有の認知スタイルの違いという多様性という視点です。
私たち日本には、みな同じという文化がありますから、個性や多様性に対して、日常レベルで真剣に対峙する機会は少ないように思います。しかし社会の変化によるものも大きいでしょう、最近は、日本人同士においても、みな同じではない、という側面に光があたり始めてきたように思います。先日そのような視点で、新聞社より取材を受ける機会がありました( 2014年5月10日 読売新聞夕刊 )。もともと人間とは、ひとりひとりが固有の存在であるのに、なにかの一つのものさしで人を判断すると、どうしても優劣という視点をとりいれてみがちです。そうすることで自分に対してもそうですが他人に対しても見誤りが生じます。そして現実も「思いこみ」の世界になります。
人がなにかを成長させるためには一定の訓練をしますが、心も同じです。継続的に訓練をしないと心は成長せず、自分の心地いい認知スタイルに安住し、「見たい世界と聞きたい世界」にとどまってしまいます。「見たい世界」が強固になると、見たい世界と違う世界を見せられる他者やことがらは脅威になります。するとそれらは排除したい対象におのずとなり、不健全な心が育ってしまうのです。
MBTIをもとに行われる対面のセッションが適切におこなわた場合、いい悪いではなく、ひとりひとり違うといことと、だからこひとりひとりの存在の重さがあるこ、そして人がその人の自然とする認知スタイルに偏ったときのおきる誤判断や不適切な行動や他者との不要な対立やことごとく繰り返されるミスコミュニケーションに至るまで、日常レベルでひそんでいる問題に自ら気づけたり、自分の課題との対峙したり健全なる心の成長の指針についても、実感値をもって体験できるのです。
現在、世界各国でMBTIは年間500万人もの人が受けていますが、日本でも年間2万人が正式にMBTI受け、有資格者からの対面のセッションを受けるようになってきました。ただ、残念ながら、簡単な説明を受けて報告書をわたされただけという簡単なセッションだったというケースもあるようです。MBTIの有資格者は、支援者として一定の訓練を継続的に受ける義務があり、所定の倫理規定を遵守する義務があります。疑問が生じるような経験をされたかたがいらしたら、まずは本協会に直接お問い合わせください。
今後も、日本において、一人でも多くの方が、良き認定ユーザーと出会い、MBTIというフレームワークと出会い、自分自身を、誰かと比較することなく、じっくり振り返りながら分析したり、日常での自分の生かし方や対峙すべき課題について考えたり、対人関係を見直す機会としていただいたり、豊かな人間関係を構築するための指針を得ていただいたり、おひとりおひとりがキャリア選択などを含む自分の人生におけるさまざまな選択をより確かなものにする羅針盤を得ていただいたり、心の成長のヒントを得ていただける機会としてくださいますことを心より願っております。
MBTI is a registered trademark of The Myers & Briggs Foundation in the US and other countries.