Q 14: MBTIのタイプは、一生変わらないのでしょうか?
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                     これは慎重に答えますね 
 YESでありNOとも言えるからです
 まずYesから説明します
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                     おねがいします 
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                     ユングは ”赤ちゃんは白紙で生まれているわけではない” と提唱しています 
 もし人の性格が白紙で生まれてきた後に作られるのだとしたら、同じ家庭や同じ環境で育つ人は、皆同じ性格になるということになってしまいます
 さすがにそれは違うと分かりますよね
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                     確かに 
 私には姉がいますが、性格は全く違います
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                     なのでユングは、人は一人ひとりが「自分」として生き、成長するために生まれてきており、それに必要な心のパターンすなわち ”タイプが生まれる前から刻み込まれている” という仮説を立てています 
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                     なるほど〜 
 タイプは生まれながら備わっていると考えられているんですね
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                     そうなんです 
 次にNoの説明をしますね
 これらのタイプ(=心のパターン)は生まれつき備わっているので一生変わりませんが、タイプは「成熟していく」と考えられています
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                     タイプの成熟? 
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                     MBTIでは、ここをとても大事に考えています 
 まずMBTIは、自分のタイプをいくつもの演習などを通じて見出していきます
 仮にご自身がISTJタイプだとします
 だからといって、ISTJの認知スタイルが適切に使われているかどうかは、MBTIは見ていません
 それをフィードバックセッションのなかで、体感的に自分は適切に使えているのか、どういう場面で自分の利き手であっても適切に使えていないのか、を確認していきます
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                     確かに、自分の利き手だからといって、書く字が上手か下手かは別問題ですね 
 まずは自分の利き手を適切に使えるようになることが重要
 それがタイプは「成熟していく」ということなんですね
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                     そのほうが、自分の見方や判断に自信がもてるようになってきますし、利き手を成熟させていく過程で、多くの成功体験をすることが多いので、自己肯定感もあがるというわけです 
 まずは自分のタイプの成熟に注力してもらったら、その後もあるのです
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                     まだ、成長できるというわけですね 
 なんだか、おもしろくなってきました
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                     まさにその通りです!少し詳しく話しますね 
 まずMBTIの指標は、すべて対立する概念同士でなりたっています
 もののみかたは感覚機能(S)と直観機能(N)、判断のしかたは思考機能(T)と感情機能(F)そして興味関心の向き方には外向(E)と内向(I)、外の世界との接し方に判断的態度(J)と知覚的態度(P)というようにです
 なのでMBTIを受けて最終的にある人のベストフィットタイプがISTJタイプだった場合、その人はすべての機能も態度ももっていて全て使えるけれど、どちらかといえば、IとSとTとJを優先して心を働かしているということ、というところは、ご理解いただけてますか?
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                     はい 
 右利きの人が、右手も左手もあるけど、どちらかというと右手を優先して使っているということですね
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                     そこで次の成長段階は、自分の利き手でない方も、意識して使っていくことから始まります 
 MBTIは具体的にどのように成長させてゆけばよいかの指針も提供できるので、すぐに自分で意識することができ、最初は何か自分ぽく無いのですが、段々慣れてくると、自分の利き手でない方も、自分の一部のように感じられるほど適切にそして臨機応変に使えてくるわけです
 当然、それなりに時間はかかりますが、自分の利き手でない方も使いこなせてくると、それを利き手としている他人のことについても理解が深まり、多様性に対してより寛容になれますよね
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                     そうか、右手を使うのが楽で自然だからと、そっちばかり使っていると、いざ左手が必要となった時に困ってしまうし、自分の利き手と違う人のこともよくわからないままになる怖さがありますね 
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                     そうですよね 
 Sタイプの人でもNを使う訓練を日常的にしていると、必要に応じてSタイプの人もNを使いこなせるようになります
 Nタイプの人にも同じことが言えます
 また、普段使っていない自分の心を使うのはエネルギーが消耗するし、面倒だから、使わないようにしている人は、、どんどん自分の認知に偏っていってしまうので、ご本人もきついと思います
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                     自分のタイプを理解していて、かつ自分の利き手でない心を意識して成長させようとしている人は、対人関係にも、コミュニケーション方法にバリエーションがある気がします 
 「懐が深い」といわれる人を想像しました
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                     長くなりましたが、結論としては、生まれ持ったタイプは変わらないですし、大切な自分の軸なので変える必要はないですよね 
 ただ自分の心のパターンに偏ったままだと、いつまでも視野が狭く、他者を誤解したまま、事実誤認もしがちになってしまいます
 なので、まずは自分のタイプがわかり、自分のタイプの成熟レベルを自分で自覚して、どう自分を成長させていけばよいか、ユングのタイプ論はあらゆる示唆を提示してくれます
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                     自分の利き手でない方の心をあえて意識することで、自分の選択肢が増えるような気がします 
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                     自分のタイプではない機能や態度を使う練習を意識的にすることで、心が全体性をおびてくる、つまり成熟してくるのです 
 そうするときっと見える景色も現実も変わってきます
 ユングは、人は本人が自覚していなくても、その人の心は成長したいという衝動を一生持ち続けていると考えていましたので、ユングの心理学的タイプ論がわかり、自分のタイプが分かると自分の出発点が明確になります
 そして、どうしたら成熟できるのか、一生涯自分の羅針盤になってくれるというわけです